2020年11月、主演に波瑠を迎え実写映画化された『ホテルローヤル』。閉塞感のある日常を離れ、ホテルローヤルの扉をひらく男と女、問題を抱える経営者家族、従業員のそれぞれの人生模様を描いた物語ですが、皆さんはご存じでしょうか?
原作は、桜木紫乃による小説短編集。2013年1月4日に集英社から刊行されたのち、2015年6月25日に文庫化され、第149回直木賞を受賞されています。
ラブホテル「ローヤル」を舞台にした、開業から廃業までの7つの物語。
性的な描写があるものの、いやらしい感じが全くない。
どれもオチというものが無いが、短い物語中に人生が表れているようにも感じた。
気になるのは「せんせぇ」の2人って……#読書 #本 pic.twitter.com/FDNge6QEsE— しょこらび@読書垢 (@choco_rabi_book) April 17, 2019
ちなみに『ホテルローヤル』は、実家が経営していたラブホテルの名前なのだそうです。(現在は廃業されています)
今回はそんな、たとえ世界中に一人しか読者がいないとしても、その一人に喜んでもらえればいいという気持ちで書いている桜木紫乃さんについて探っていこうと思います。
桜木紫乃の生い立ち
名前:桜木紫乃(さくらぎしの)
本名:金沢志保(かなざわしほ)
生年月日:1965年4月19日
出身地:北海道釧路市
出身中学:釧路市立北中学校
出身高校:北海道釧路東高等学校
職業:小説家、詩人
趣味:ストリップ鑑賞
中学生の時に原田康子の『挽歌』に出会い文学に目覚めた桜木紫乃さん。父が莫大な借金をしてラブホテルを立ち上げたのは、桜木紫乃さん15歳の春、中学を卒業してすぐのことでした。
ホテルの事務所の上に住まいがあって、学校から帰ると毎日、なにかしら手伝いをしていました。
家の中を他人が出入りして、いろんな人のさまざまな側面を見たり、聞いたりし、人間って本当にいろいろな人がいるのだなと、知ることができた場所だったようです。
高校卒業後、裁判所で和文タイピストとして勤務しながら24歳で結婚すると、家を出て専業主婦となりました。
夫は6歳年上、仕事は裁判所の書記官で、とにかく顔と声が断然好みのタイプだったようで猛アタックの末に、モテ男だった彼をゲットしました。
2人目の子供を出産後に小説を書き始めた桜木紫乃さんは、釧路発の文芸同人誌「北海文学」に参画したことがきっかけで創作活動を本格化しました。
そして2002年に「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞し、42歳になる年に『氷平線』で単行本デビューを果たします。
2013年、『ラブレス』(新潮社)で島清恋愛文学賞を、『ホテルローヤル』(集英社)で直木賞を受賞しています。
また、金澤伊代のペンネームで詩人としても活動しており、海のかたち(1998年緑鯨社)、雨の檻(2000年私家版)、午後の天気図(2000年IYO・ROOM)など、詩集も刊行しているのです。
桜木紫乃さんのエピソード
自身でゴールデンボンバーのファンだと公言している桜木紫乃さん。
直木三十五賞受賞の記者会見では、メンバーの鬼龍院翔が愛用している、タミヤロゴ入りTシャツを着用していました。
しかしこれは、どうせ賞は取れないだろうと、残念会のために着ていたもので、授賞式出席の際は着替えるようにスタッフに進言されたのですが、嫌だと自己主張しそのまま出席したのでした。
選考結果を待っている間は、残念会のつもりで編集者さんたちと居酒屋で楽しく飲んでいたので酔いがそうさせたのかも…
のちに「鬼龍院翔のオールナイトニッポン」で鬼龍院翔とは、初対面も果たした桜木紫乃さんは、彼の書く歌詞に惚れ込んでいるようで、もはや尊敬の域まで達しているとのこと。
番組終了時には、あまりの緊張と感激で倒れ込む様子が、テレビで流れたこともありました。
作品のほとんどは、生まれ故郷の北海道を舞台としている桜木紫乃さん。
代表作『ホテルローヤル』については、15歳のときに父親が釧路町に「ホテルローヤル」というラブホテルを開業し、部屋の掃除などで家業を手伝っていたという経験があってこそのものでした。
その当時は、そこがどんなことをする場所なのかは知らずにただ、父親に褒められたくてシーツの早たたみ等を会得していったようですよ。
桜木紫乃さんの主な受賞作品
2002年『雪虫』で第82回オール讀物新人賞受賞
2012年『ラブレス』で第41回釧新郷土芸術賞受賞
2013年『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞受賞
2016年『蛇行する月』で第1回北海道ゆかりの本大賞受賞
2020年『家族じまい』で第15回中央公論文芸賞受賞
最近の作品としては
裸の華(2016年6月 集英社)
氷の轍(2016年9月 小学館)
砂上(2017年9月 角川書店)
ふたりぐらし(2018年7月 新潮社)
光まで5分(2018年12月 光文社)
緋の河(2019年6月 新潮社)
家族じまい(2020年6月 集英社)
俺と師匠とブルーボーイとストリッパー(2021年2月 KADOKAWA)
ブルースRed(2021年9月 文藝春秋)
などがあります。
映画になった作品は、
起終点駅 ターミナル(2015年、東映、監督:篠原哲雄、主演:佐藤浩市)
当時の紹介フレーズとしては、佐藤浩市と本田翼、日本を代表する実力派俳優と、今をときめく新進女優の映画初顔合わせが話題を集める感動作となっています。
ホテルローヤル
(2020年、ファントム・フィルム、監督:武正晴、主演:波瑠)
北海道釧路の湿原に建つラブホテルを舞台に、男女の性愛にまつわる人間模様をオムニバス形式で描いた作品。それぞれ問題を抱える宿泊客、経営者家族、そして従業員が織りなす男と女の物語です。
今日の #イチオシ!! に #波瑠 さん、 #安田顕 さん、 #桜木紫乃 さんが生出演だオン❗️オンたのしみにー❗️\(o▽n)/#ホテルローヤル#HTB 📺 https://t.co/M5mF3gOFiq
— onちゃん【公式】 (@HTB_onchan1201) October 19, 2020
釧路町に実在したホテルは現在は、廃業しているそうですが、一億円もの借金をして始めた父親が名付けた「ホテルローヤル」は、山の上にあってお客さんは、中高年が多かったんだそうです。
NHK「あさイチ」に登場
2020年10月23日のNHK「あさイチ」に、直木賞作家・桜木紫乃さんが出演されました。トークの感じではすごくあっけらかんとして、自分に正直な嘘のない方だと思いました。
思春期の娘にラブホテルの仕事を手伝わせた父親もすごいが、手伝いをしたら父親が喜んでくれたということで、シーツのたたみ方が早くなってうまくなったみたいです。
親に喜んでもらいたかった!ほめてもらいたかったんでしょうね。
そんな桜木紫乃さんの番組内での、明るくユーモア溢れるトークには、優しさと温かさも滲み出ていて、本当に素敵な方だと感じました。
また、夫と息子そして娘をすごく愛している様子も垣間見られて、ほのぼのとさせられました。
ファンの方からもらった、スクラップブックを大事そうに持って来られていて、経緯などを話しているうちに涙ぐんでくるなど、感受性が強くて涙もろい方なんでしょう。
また、そんなファンがいる限り、待ってくれる人がいる限りは自分から書くことは決してやめれないと語っておられました。
これからも、頑張って息の長い作家さんでいてください。
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